こんにちは!とり天です!
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、B型肝炎やBCGなど様々なワクチンが存在しますが、
ワクチンの具体的な働きをご存知でしょうか。
私は何となく理解していたつもりだったのですが、
コロナをきっかけに改めてワクチンに関して勉強してみました。
また、コロナワクチンの接種をきっかけにワクチンや免疫に関して学んでいる中で、
ワクチンの働きを理解すると同時に“炎症”が引き起こす症状についても発見がありました。
・人間の免疫について理解したい。
・炎症が引き起こすうつ的症状について理解したい。
手早く記事の内容を理解したい人は、
記事の要約をご覧ください。
ワクチン接種を控えて、免疫って何だっけ?という方はこの記事を一読して、ワクチンに対する理解を深めてみることをお勧めします。
1.ワクチンのメカニズム
2019年から流行の兆しを見せ始めたコロナウイルスを初め、世界中には細菌やウイルスと言った病原体が多数存在します。 人間がそれらの病原体から身を守る術として進化の過程で手に入れた生体機構が“免疫”です。
免疫と言っても大きく分けて2つの機能が存在します。
1つは“自然免疫”。1つは“獲得免疫”です。
具体的な体内での反応をみてみましょう。
体内に見知らぬ細菌やウイルスが侵入すると、
- ①:自分と自分以外(非自己)を判断して、非自己を攻撃して繁殖を防ぐ。
- ②:①の過程で獲得した非自己の情報を解析し、抗体を生成し攻撃に備える。
※抗体:病原体などの特定の異物を生体内から除去する働きを持つタンパク質
この①の機構(働き)が自然免疫で、②が獲得免疫です。
自然免疫が働いている際には、各種細胞やそれらの分泌する化学物質の働きにより、発熱やリンパ節が腫れるなどの症状が顕れる場合があります。
ワクチンは上述の獲得免疫の仕組みを利用して、弱毒化あるいは不活化された病原体などの物質を体内に取り込み、狙った病原体に対する抗体を獲得する感染予防の手法の1つです。
ワクチン接種の際、接種したワクチンに対して敵に襲われた際と同様に①の自然免疫が作動して、その結果身体に諸々の症状が現れるのが“副反応”です。
ワクチンにより抗体を獲得すると、普段の生活の中で病原体が体内に侵入した際にも、増殖されるよりも速く抗体で病原体を攻撃できるため、感染を防いだり重症化を避けることができるようになるのです。
2.免疫。。。その時体内で起きていること
免疫機構が機能する際に、重要な働きをするのがマクロファージや白血球などの免疫細胞やサイトカイン(体内で生成されるタンパク質)です。
ワクチンによる免疫獲得に深く関わるマクロファージとサイトカインの働きについて説明します。
2.1.マクロファージの働き
マクロファージは体内に侵入した病原体を捕食して繁殖を抑えます。
好中球や好酸球などの白血球やNK(ナチュラルキラー)細胞など、侵入者に対して攻撃を行う細胞はマクロファージ以外にも存在しますが、マクロファージは捕食した病原体の情報(抗原)や炎症が起きていることを体内に伝達して、より強い免疫を起動させようとします。
そして、マクロファージから受け取った抗原を元にB細胞と呼ばれる免疫細胞が抗体を作り出し病原体を攻撃します(正確には、この際に登場する免疫細胞はB細胞だけではないですが、簡略化のために主要な部分のみ記載します)。
一度抗体ができると、抗原と抗体の情報を記憶するため、再度、同様の抗原を持つ異物に侵入された時にも素早く対処ができるようになります。
2.2.サイトカインの働き
サイトカインは細胞同士の情報伝達を活性化するためのタンパク質の総称で、様々な種類・機能が存在します。 マクロファージが情報伝達の際に用いている物質はこのサイトカインです。
サイトカインの中で、炎症性サイトカインに分類されるものは、
外部の敵に対する攻撃を強めるためマクロファージを特定の部位に集めたり、
病原体の増殖の抑制や免疫の働きの促進のために発熱させたりなどの働きをします。
つまり、炎症性サイトカインは体内に炎症が起きていることを知らせる伝言役のようなもので、
ワクチンを打った際の副反応や病原体から感染した際に顕れる症状は、炎症性サイトカインによる免疫反応の一部なのです。
3.炎症がうつ症状を引き起こす!?
3.1.炎症は脳にも起こる
この炎症性サイトカインは上記のような症状以外にも脳の炎症にも関連しています。
身体の炎症反応が発生するとサイトカインが分泌されることは先述の通りですが、この際サイトカインは血液の流れに乗って全身を巡ります。全身を巡るため、脳内の免疫機構に作用することもあります。
脳に炎症の情報が伝えられ免疫機構が起動すると、脳内で炎症が発生して脳にダメージを受けてしまう場合があります。その結果、脳機能が低下してうつ症状(あるいはうつのような症状)を引き起こすことがあります。
※うつ症状:倦怠感や身体の疲れなどの身体的症状。人と会いたくない、不安が消えないなどの心理的症状のことを指しています。
これは炎症性サイトカインが扁桃体などの情動を司る脳の器官を刺激することで発生します。
3.2.脳内での炎症はうつ症状を引き起こす
この生体反応を、順を追って見ていきましょう。
まず、扁桃体は嫌悪刺激を受け取ると、呼吸や脈拍の増加させたり、様々な自律神経、内分泌変化を引き起こします。また、扁桃体が活性化すると人は不安や恐怖を感じますが、これは生物としては正常な機能です。
というのも、身の危険が迫った際に不安や恐怖を感じなければ、逃げる・隠れるなどの身を守る行動が遅れてしまい、生命の危機を回避できなくなります。そのような事態を防ぐためには、不安や恐怖といった感情を抱くことは正常な反応と言えます。
とはいえ、扁桃体の働きが過剰になると、不安や恐怖を感じやすくなってしまいます。そして、扁桃体が過剰に活性化するとうつ的症状を引き起こします。
改めて、この生体反応を整理すると、以下のようになります。
- ①:脳以外の場所で発生した炎症で炎症性サイトカインが分泌される。
- ②:血流により脳にまで運ばれる。
- ③:扁桃体が過剰に反応して、抑うつ症状を引き起こす。
3.3.免疫反応の強さは何によって変わるのか?
ところで自然免疫の反応はその人の体質や過去の経験などにより、活性が変化することが知られています。
ニュージーランドで行われた実験の結果では、過去に児童虐待を経験したことのある人は、軽い感染症や社会的なストレスに対して免疫反応が過剰に起き、うつ症状を引き起こしやすいことが確認されています。
また、体脂肪も炎症反応に変化を起こすと考えられています。というのも、脂肪細胞の多くがマクロファージであり、これは炎症性サイトカインの主な発生源です。
そのため、痩せている人に比べて太っている人の方が血液中のサイトカイン濃度が高いことが分かっています。
ただ、体脂肪に関しては、因果がわからないのでご留意ください。
うつ的症状が先行して自身を慰めるためにやけ食いして結果太ってしまったのか、それとも自身の体型と目指しているボディーイメージとのギャップにストレスを感じ、結果うつ的症状を引き起こすかは科学的にメカニズムが解明されたわけではございません。
脳の炎症がうつ的な症状を引き起こすメカニズムについては、どうしてこのような反応が起きるのかなど未解明の部分もたくさんあります。
ただ、炎症反応を引き起こすきっかけが病原体だけではなく、社会的ストレスや脂肪細胞も要因の1つであることを理解しておくと健康管理の一助になることでしょう。
3.4.ストレスをどう捉えるかが大事
ちなみに、ストレスによる身体の免疫反応はストレスに対するその人の考え方や対処の仕方により大きく異なり、必ずしも悪影響を与えるとは限りません。
ということは、日頃からストレスとの向き合い方を練習しておくことで過剰な免疫反応を抑え、結果的にうつ的症状の発生を防ぐことにもつながると考えられます。
ストレスとの向き合い方に関しての詳細は以下の記事をご参照ください。
記事のまとめ
・ワクチンは獲得免疫の仕組みを利用した感染予防手法の1つである。
・マクロファージや白血球などの免疫細胞、サイトカインにより免疫が機能している。
・サイトカインが脳内の免疫機構に作用することで脳がダメージを受けるとうつを引き起こすことがある。
・ストレスは捉え方で毒にも薬にもなるため、日頃からストレスとの向き合い方を練習しておくと良い。
参考にした本
終わりに
いかがだったでしょうか。
ざっくりですが、ワクチンや免疫について理解して頂けたのであれば幸甚です。
不明点やご指摘等あれば、問い合わせにてお願いいたします。
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